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ハイエクを1冊も読んだことがない?自民党政治家がTPP参加とその利益について語る愚

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 TPP、日米首脳会談での参加表明否定…高市氏

 (So-net news2013/ 02/03 18:37  提供元:読売新聞)

 自民党の高市政調会長は3日、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉について、今月下旬の日米首脳会談で、安倍首相は参加を表明すべきでないとの考えを示した。

 高市氏は「(首相は)表明しないと思うし、表明するべきタイミングではない」と述べた。

 その理由として、参加による経済効果に関する統一試算がまだ示されていないことを挙げた。

 都内で記者団に語った。

 党内に賛否があることについては、「あくまで政府が決める。党が賛成したから反対したから(といって)、どうなるものでもない」と述べ、政府判断を尊重する考えを示した。

 自民党は6日、外交・経済連携調査会(衛藤征士郎会長)が初会合でTPP交渉に関する議論を始める。

 ---Newsここまで)---

 「参加による経済効果に関する統一試算がまだ示されていない」から参加すべきではないとは、なんと愚かな思想だろうか。

 世界史上、大繁栄した国家で外国との自由貿易を促進しなかった国家など皆無である。

 さらに愚かなのは、日本国がTPPに参加した場合の経済的効果が統一的に試算できるなどと、名目上であれ、自由主義を名乗る政党・政治家が、まじめに考えていることである。

 例えばTPP参加による、10年後、20年後、30年後の正確な経済効果など一体だれに算出することができるのというのか?

 そもそも、そのような経済計算の予測が可能ならば、日本国は優秀な官僚や政治家や経済学者たちの「全能の頭脳」によって、とっくの昔に不況から脱出できているはずではないか。

 さらに言えば、そのように明確に将来の経済計算をする方法がもしあるのなら、それを全世界の全政府に広め、普及すれば、世界経済は永遠に繁栄の一途(=究極には、世界中に貧困者ゼロの途)をたどる「地上のユートピア」を設計できるという思想に到達するであろう。

 まさにその思想こそ、マルクス主義やマルクス・レーニン主義の「世界共産化の思想」であったのではないか?

 しかし、そのような計画経済・統制経済は現実的には不可能であったから、世界共産化はならず(今も運動は盛んだが)、共産主義国家であるソ連や中共・・・の国民は、共産党の支配による「隷属への道」(=餓死と強制収容所と虐殺)という暗黒の運命を辿ったのではなかったのか?

 TPP貿易の経済的効果が、政府に試算可能であるという愚かな思想は、自由主義(=市場経済の不確実性、偶然と運の存在)の否定であり、それはFA・ハイエクが、統制経済や計画経済(→社会主義や共産主義)の「デカルト的設計主義的合理主義」の誤謬として理論的に予言し、現実の歴史も全く理論通りになったことで自明となっている真理に背反している。

 ハイエク曰く、

 「大きな社会における諸活動の全体的秩序がそこに基礎を置いている特定の事実のすべてを知ることは誰であれ(=政府であれ)不可能である」

 「(個人に)分散された知識の活用は、それぞれの個人の機会は異なっているという事実によって可能になる。

 それほどに多様化された知識を活用する機会が生みだされてくるのは、それぞれの個人が所与の時点で、自らを見出す事情が違っているからであり、これら(個人の)特定の事情は彼らにだけしか知られていないことが多いからである。

 そして市場という自生的秩序が遂行しているのがこの機能である。

 それゆえに、政府は全員の機会を決定できるとくに全員にとって機会が同じになることを保証できるという考えは自由社会の全体的な存立根拠と対立することになる」(以上、『ハイエク全集「法と立法と自由〔Ⅱ〕」』、春秋社より)

 ハイエク曰く、

 「市場や原資源を求める自由な競争に代えて、国家なり組織集団なりの間での交渉を処理していけば、国際摩擦は減少するだろう、というのは最も致命的に危険な思想の一つでしかない。

 (私企業間の)自由競争制度の《闘争(競争)》というのは抽象的な表現にすぎず、逆に国家なり集団間の《交渉》というのは実はそれぞれの(政府による)力(=強制力・権力)比べなのだが、この主張は前者(=私企業の自由競争)に代えて後者(=各国政府の強制力比べ)を用いよという主張しているのである。

 そして(各国政府の)力に訴えることなく(自由競争で)解決できる諸個人間の競合関係であったもの(=市場の自生的秩序=市場原理)を、上位の法(=国際法・国際条約)に従う必要のない、強力で軍事力を持った国家間の闘争へと変えようとしているのである。

 それらの国家は、自らの行動を誰にも審判されず、従うべき上位の法も持たず、自国の利益しか考慮する必要のない代表者によって、運営されるものである以上、国家間の経済取引というものは、最後には力と力の衝突に終わらざるを得ない」(ハイエク『隷属への道』、春秋社より)

 またヒューム曰く、

 「利益は、あらゆる個人の一つ一つの行為の結果ではなく、社会全体、あるいはその大多数によって同意された全体としての構造、あるいは体系から生じるのである。

 ・・・この場合、多くの事例においては、個々の行為の結果(=例えばTPP参加した場合の個別産業・個別企業・個人の結果)と行為体系全体(=日本経済全体の自由貿易行為)の結果は全く正反対である。

 前者(=特定の産業・企業・個人)は極めて有害である(=不利益を被る)かもしれないが、後者(=日本国の産業・企業・国民全体で)は最高の利益をもたらす。

 ・・・その利益は、一般的規則(=法、TPPの場合国際法・国際条約・国際慣習など)の遵守からのみ生じるのであり、それによって、特定の人物や状況(=特定の産業・企業・個人など)から生じるあらゆる(個々の)害悪や不都合に対して、(社会全体の最高利益からの)補償が行われ(てい)る(=見えざる神の手=気付かざる神の手が働いている)のであれば、それで十分なのである(と悟るべきだ)」(ヒューム『道徳原理の研究』)

 記事中のTPPに関する発言内容は、ハイエクの政治哲学・経済学の根本思想を読んだこともない高市早苗個人の無知から発するのか、安倍内閣全体の経済統制思想から発するのか、自民党全体の(無意識の)「社会(共産)主義かぶれ」から発するのかは知らない。

 が、いずれにせよ、現状の自民党が行っている保守(自由)主義は、日本国内の政治・経済(エネルギー)・社会問題及び対外的な外交・貿易・国防等々を、一貫した保守(自由)主義イデオロギーの土台上で総合思考できておらず(=極めて中途半端であるため、曖昧不明瞭であり)、常に左へ左へと傾倒・妥協していく始末。

 そうであるならば、名目的保守(自由)主義かつ実質上社会主義的な政治という、かつての「旧自民党の体質」からまったく脱皮できていないと言わざるを得ないのではないか。


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